診療案内

認知症診療


認知症の原因となる最大の因子は加齢です。我が国は長寿高齢化が進行し、65歳以上の高齢者数の増加により認知症患者も増傾向にあります。厚生労働省の報告では、65歳の4人に1人が認知症(または軽度認知障害)ともいわれています。また認知機能の低下がうつ病や慢性硬膜下血腫などの他の疾患が原因で引き起こされることもあります。この場合は適切な治療により正常な状態に戻る可能性もありますが、その期間がある程度続くと不可逆的な状態へ移行してしまうことも知られています。しかし私たちは、認知症はくらしや身体状態の安定や薬物治療によって進行を遅らせることができ、その人らしく暮らせる時間を長くすることができると考えています。当院は、院長の中村が認知症サポート医(※1として移転当初より認知症治療病棟を設置し、さらに一人でも多くの地域の皆様に貢献できますよう、2015年8月より専門外来(もの忘れ外来)も始めました。また現在、認知症サポート医で精神保健指定医及び日本精神神経学会専門医でもある井上医師の外来を始めました。(診療担当日:火曜日・木曜日・・・要予約)

※1 認知症サポート医:国が進める「サポート医研修」を受け、認知症に関する専門的知識・技術をもって、かかりつけ医への助言や、地域の認知症医療の中心的役割を担う医師です。

 

初診時の主な診察内容

問診による病歴聴取、簡易認知機能検査、神経心理検査、血液検査、画像(MRI)検査などをふまえて診察に移ります。(そのため初診時は2~3時間の所要時間を見込んでおります)

 

受診に際して

・本人の普段の様子をよく知っている方が付き添ってください。
・医師に、今までかかった病気や怪我、いつ頃からどのような変化があったかなどを医師にわかりやすく伝えるため、具体的に記したメモ等を持参していくと良いでしょう。(家族から見た、以前とは違う様子や行動は、医師の参考になり、診断する上でも重要なポイントです)

・本人に認知症と認めたくないという気持ちが強い場合、受診を納得してもらうのは難しいと思います。そのような時は最初に家族だけで訪ねて、一度ご相談ください。または、認知症での受診とは言わずに誘ってみてください。(その際は一度受付でその旨をお伝えください)

 

認知症治療病棟

認知症治療病棟は、認知機能全般の低下や認知症い伴う精神症状や行動の異常(BPSD)により、これまで暮らしてきた生活環境で支障が生じている患者様に対し、入院でのケア、生活機能訓練や作業療法、薬物療法を通して、その回復、低減に取り組んでいく病棟です。

・環境やケアの影響を大きく受けるBPSD。それに対する治療の基本は適切なケアです。(BPSDを介護者の立場から、「問題行動」ととらえるだけではなく、「その方の心の表現」と解釈し、その方の意図するところ、訴えたいところを想像し、本人の立場で対応すると、結果的にBPSDの軽減につながることがございます)しかし、それでも不十分な場合や、急を要する状況などでは薬物療法の併用を行います。

・生活機能訓練や作業療法はケアと薬物療法の中間的視点からのアプローチであり、認知機能や生活能力、QOLの向上を目的としています。

 

入院までの流れ

在宅にお住まいで、当院への定期通院をされていらっしゃらない方は、一度「物忘れ外来」(毎週火曜日・木曜日:要予約)を受診されてください。そこでの診察をふまえて、入院のご相談となります。
病院、施設にてお過ごしの方は、現在お過ごしの病院、施設担当者さまから、当院相談員までご連絡・ご相談ください。(詳しくは「医療機関の方へ⇒入院の紹介方法」を参照ください。)

おことわり

高齢化社会の影響により、認知症でお悩みの患さまが非常に多くいらっしゃる現状です。そのため当院では、原則として入院治療期間を3か月と定めさせていただいております。それ以降も入院での治療が必要な場合は、状況に応じた対応をさせていただいております。施設入所までの一時的な待機の場としてや、介護者の休養といった医療に付随する社会的事情にも柔軟に対応させていただきますので、当院相談員までお気軽にご相談ください。